1年越しの舞台に立って

  • WEB特集 渡辺謙 1年越しの舞台に立って | NHKニュース

    日本を代表する俳優、渡辺謙さん。今、東京の劇場で主演舞台の上演に臨んでいる。 実はこの舞台、去年の春にも一度上演を行ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、早々に中止を余儀なくされていた。 「『夢や希望を与えたい』とか、大それたことは思わない」「懸命に、今目の前にいる人とどう生きるか。それに終始するしかない」 コロナ禍で表現の場を失った俳優が、1年越しの舞台に立った今、思うこととは。(科学文化部記者 河合哲朗) 俳優人生の“原点”『ピサロ』 今月15日、東京・渋谷のPARCO劇場で、舞台『ピサロ』が初日を迎えた。 靴裏の除菌と手指の消毒、検温などを行って入る劇場内はふだんにはない緊張感が感じられる一方、公演を心待ちにしたファンの様子からは、これから始まる舞台への期待感が伝わってくる。 渡辺謙さんが演じるのは、南米・インカ帝国に攻め入るスペインの将軍・ピサロだ。 舞台は16世紀。 キリスト教を信仰するスペインと、太陽を神とするインカ帝国。 異なる価値観の衝突を通じて、人は何を信じ、どう生きるかを問いかける。 この作品は渡辺さんにとって、特別な意味を持つ舞台だ。 今から36年前の1985年、当時25歳でまだ「無名に近かった」時期に出演したのが『ピサロ』だった。 この時は、名優・山崎努さんが主人公・ピサロ役を務め、渡辺さんは対する若きインカ王の役を演じた。 渡辺さんはこの時の経験が、俳優人生の“原点”になったと語る。 「それまでも仕事はちょこちょこしていたんですけど、本当に自分が俳優になるという覚悟を持たないまま、ずるずるやっていました。 この時は『この芝居をやってだめだったら、もう俳優をやめてもいいかな』とまで思って稽古に臨んだんですが、ある種の手ごたえというか、『厳しいけど、いい仕事だ』と思える経験をしました」 コロナ禍で断たれた思い 渡辺さんは、60歳の節目を迎えた去年の春、再びこの舞台の上演に臨んだ。…

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