
特徴
夏休みは終わったけど「GOTO ゴースト・オブ・ツシマ」を薦める7つの理由│世永玲生の電網マイノリティ – Engadget 日本版
こんにちは、夏休みが終わってしまいましたけど、まだまだステイホームな雰囲気が続きますね。
僕もすっかり、自炊スキルだけが無駄に向上していってます。
さて、発売3日でワールドワイドで240万本の売上を達成した「ゴースト・オブ・ツシマ」(以下ツシマ)もう、皆さんプレイしましたでしょうか?
▲「GOTOツシマ」は散策しているだけで楽しい。
夏休みのお供に最適。「GOTOツシマ」と僕の周りでは話題でした。
ソニーの第1四半期の決算発表でも、わざわざ貢献の柱の一つとして発表されていたので、現時点では300万本は優に突破しているのでは無いでしょうか。
今回は僕の「ステイホーム」期間を充実させてくれたこのツシ。もし未プレイならとにかくやっていただきたい。そんな感じの記事になります。
僕自身、攻略を出来る限り見ないでゲームはプレイしたい派なので「過度な攻略情報」「ネタバレ」は避けた記事を心がけて書き上げる予定なので、「これから」の人も安心してお読み下さい。
どんなゲームなの?
ツシマはオープンワールドのアクションゲームです。
ステルス要素もありますので、いわゆるステルスゲーとして評している人も多いです。
舞台は鎌倉時代中期の「対馬(本作では對馬)」、当時対馬に攻め入ったモンゴル軍との戦い、いわゆる「元寇」をテーマとしています。
史実でも対馬の守護代、宗助国は2万5000の軍勢を相手に80余騎で向かいうちましたが、本作ではその「小茂田浜での戦い」の「その後」を描いた「サムライファンタジー」とでも言えば良いでしょうか。
モンゴル軍に攫われた島民を救いながら、多勢に無勢で戦いを挑む武士のお話です。
▲島民を救うため戦う武士のストーリー。
現在ではいわゆる「神風」が原因で元寇はおさまったのではなく、「鎌倉武士」の働きによるもの。というのが定説となってますが、果たして本作ではどの様に描かれているのか・・・
そこは、是非プレイして経験してみていただきたいです。
▲プレイ中のグラフィックのクオリティも極めて高い。
「操作できる時代劇」「操作できる大河ドラマ」と、僕の周りの人は称している人が多かったのですが、映像の質・シナリオの質共に「隣で見ているだけ」でも楽しめる作品と断言できます。
日本文化への「海外からの」ラブレター
このゲームは「ゲーム・映画・漫画を含めた日本文化」の影響をうけたクリエイターによる「海外からのラブレター」です。
開発を行ったサッカーパンチ社のネイト・フォックス氏は、本作の立ち位置を「マカロニ・ウェスタン」のコンテキストで「ハンバーガー・サムライ」と呼んでました。
米国生まれではない西部劇を「マカロニ・ウェスタン」と呼びますが、かの有名なクリント・イーストウッド主演の「荒野の用心棒」はイタリア映画です。
今まで勧善懲悪が主流であった西部劇はイタリア人の手により、様々な文化や思想と融合しました。
(正確にはドイツ製西部劇を経てですが)
テーマとして、オペラ作品や日本映画を踏襲することも「マカロニ・ウェスタン」で生まれました。
例えば「荒野の用心棒」は黒澤明監督の「用心棒」の勝手リメイクで、その後東宝は裁判を起こし勝訴しています。
本作は、海外の目からみた「サムライカッコイ!」「ジャパン・クール!!」がコレでもかと放り込まれいる作品です。
シナリオも黒澤明監督作品「羅生門」の影響を受けたであろう、1つの自称を多視点から描く手法が使われていたり、地形や建造物、そして「自然描写」も、本気で日本文化をかっこいいと思ってないと出来ない前のめりなクールジャパンな描写・再構築が行われており、深い愛を感じざるを得ません。
▲黒澤モードでは白黒でプレイ出来る。
黒澤明リスペクトとして、本作には「黒澤モード」が搭載されているのですが、それを選ばなくても十分伝わる「サムライリスペクト」と「黒澤愛」が随所に溢れています。
ジャッキー・チェンの素晴らしい演技の元になった、ミックスされた格闘技のをジャッキーは「チャプスイ」と呼びました。
チャプスイはアメリカ式中華料理の代表格ですが、ツシマはアメリカ式時代劇ゲームの代表格となって、「ハンバーガー・サムライ」という1ジャンルを築いていくのではと僕は思っています。
最高のバランスの「文化・精神のごった煮」が魅力
さて、ツシマは、日本文化の再構築を行っているだけではなく、様々な国で生まれたゲームの要素が詰まっています。
そして、それらは、お互いが過度に主張することなく、最高のバランスで組み合わさっており、それが今までにないゲーム体験を与えてくれます。
もちろん、「新しいなぁ」と思う要素もあるのですが、徹底的な作り込みと、異なる国で生まれた既存の様々なゲーム要素の絶妙なバランスでの融合がこのゲームの素晴らしさだと僕は感じてます。
マップデザインは、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドを始めとした、「地形に意味がある」オープンワールドゲームを踏襲。
▲戦闘シーン迫力そのもの。
戦闘システムは、過去のサムライ系ゲームで取り入れられていた「パリィ」を重視したもの。そして様々な暗器や平気も利用可能です。
そしてウィッチャー3で取り入れられていた足跡追跡要素。
鉤爪を使ったパルクールはニンジャ系ゲームの影響を感じられます。
そして、それぞれが絶妙なバランスで融合されています。
更に徹底的な作り込み。
▲細かい作り込みに圧倒される。
例えば共駆けするシーンでは、自分の操作を先読みしてるかの様に、コンパニオンキャラクターが先導してくれるのですが、これがとにかく気持ちいい。
誰かと一緒どにどこかに移動するというプレイをツシマは過去最高に気持ちよくプレイさせてくれます。
本作の「パルクール」はクオンタイズと「程良さ」が気持ちいい
さて次に、ツシマでのパルクール要素ですが、これが程よく気持ちいいです。
パルクールはフランスの軍隊訓練から生まれたエクストリーム系スポーツです。
ビルや建造物を舞台に、走る・跳ぶ・登る・飛び移る・飛び降りるといった映像を見たことがあるかと思います。
このパルクールはステルス系ゲームでは定番の要素の1つとなっているのですが、ルートを見つけるアハ体験的なひらめきと、それなり以上に高度なプレイヤースキルを要求しているものが多く、どれも若干手強い。ですが、ツシマでのパルクールはクオンタイズ(補正)が行われており、それっぽい動作を簡単に行うことが出来ます。マップ攻略を気持ちよく行えるスパイスとしての存在です。
▲本作のパルクールは気軽にスーパープレイを楽しめる。
このクオンタイズは本当に凄まじい調整と技術で行われていると確信出来るクオリティで、過度なプレイヤースキルは要求されない上に、無理やりフィックスされている感覚が全くありません。
それによって、自分が超絶プレイを行った結果、素晴らしいアクションを行っていると錯覚させてくれます。
▲ツシマではこの様な不自然な挙動がほとんど感じられない。
関連リンク:
アニメ実写再現シリーズ初代バイオハザードあるあるものまね集Part1(ニコニコ動画)
また、ニコニコで話題になったこの動画の様な3Dアクションゲームあるあるな挙動は、今でもアクションゲームでは度々目にすることがあるのですが、ツシマでは馬に飛び乗る挙動1つとっても自然で、没入感を損なわせません。
親切設計かつ、プレイ上の満足度を最大化させる素晴らしい仕組みです。
素晴らしいマップデザインと「風まかせ」な散策
続いてマップデザインのお話です。オープンワールドゲームとしてのマップのクオリティは「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」同等かそれ以上。
1つ1つのマップの起伏やオブジェクト配置に意図を感じますし、なによりエネミーセットが秀逸。
あまり敵に遭遇したくないなぁ・・・と思う時には、その様な意思を持って移動すれば出会いにくいですし、敵のアジトの側の街道を気楽に移動していると、即鉢合わせになります。
エネミーセット(敵のパーティーの組み合わせや、配置)も秀逸で、「適当に組み合わせて、適当な場所に置いているな」「適当にランダム配置だな」とは感じさせません。
移動中だけでも「ストーリー」を感じさせてくれます。
そして、ツシマでの「没入感」を最高にしているのが、「誘い風」「黄金鳥」「キツネ」「白い煙」「ホタル」です。
▲風まかせな散策も楽しい。ホタルや黄金鳥が誘う。
オープンワールドゲームは「マップの広さ」は狭いより、広いに越したことはないですが、任意の場所を探し当てる時に2時間も3時間も散策する様では、満足感よりストレスが上回ってしまいます。
本作では目的地やアイテムの有りかを「風」や「黄金鳥」、「キツネ」「白い煙」「ホタル」が導いてくれるのです。
ですから、移動の度にマップを確認する必要もなく、「風まかせ」なマップ散策を行いながら、目的を果たすことが両立出来るのです。
これは「没入感」を損なわない手法としては「発明」そのもので、今後多くのゲームに取り入れられていくのではと思っています。
この目印的なヒントは先程あげたパルクール要素でのマップ攻略にも取り入れられており、自然と大事なポイントに目が向く工夫は各所に散りばめられています。
洋ゲーなのに洋ゲーっぽくない。
ツシマでは代表的なプレイスタイルだけで、スニーク(隠密)系プレイや、サムライ(この場合はウォリアー的な意味)プレイ、剣士系プレイ、といった遊び方が出来きます。
これに各種アイテムや、弓によるスナイピングや弓術系を組み合わせると、プレイスタイルは人によって千差万別です。
苦手なスタイルを避けて、自分の得意なスタイルを押し通しても、クリア出来るバランスとなっているのは、一般的なオープンゲームの流儀を踏襲。
ただし、ツシマでは自分だけのステ振り・スキル振りといったものは最終的には存在しません。
ゲームプレイ中に「取り返しがつかない」要素もほぼ無いと言っていいでしょう。
シナリオ面では、JRPG的な「最終的に皆同じ結果になる」仕組みになっています。
ワールド内で起こる様々なイベントや、ストーリー進行はどれから進めようと自由なのですが、大団円に向け綿密に構成された「自由に動ける1本道」の中でゲームプレイを満喫出来ます。
この、「自由に動ける1本道」が実に気持ち良い。
更に、攻略サイトを見る意味も極端に本作では少ない上に、やりこみに入ったプレイヤーにはそれを補助するスキルも提供されています。
徹底的な親切設計による、自由さが「GOTOツシマ」に圧倒的な没入感を与えてくれるわけです。
僕はオープンワールドゲームは好みではあるですが、過去にやりこみレベルでハマったタイトルでも、愛犬が死なない様に慎重に慎重を重ねてプレイをしたり、自分好みのプレイスタイルに最適なスキル育成をしたりと、「その世界で自由に行動できていたか」というと、微妙なところです。
愛犬が死んだ時には、ロードするかそのまま続けるか、本気で迷い、続行を選択した後ゲーム内ペットロスに襲われたもので、それはそれでゲームプレイの醍醐味ではあるのですが、このツシマは「對馬」を本当に自由に体験させてくれたなぁと、振り返り感じさせます。
最後にこれからプレイする人に
まず、難易度ですが「難しい」や「万死」を勧めはしませんが、せめて「普通」でのプレイを強く推奨します。
いわゆる「ロックマン世代」や「ダクソ勢」であれば、「難しい」や「万死」でも構わないでしょう。
僕は、後半になるほどにこの世界とお別れしたくなくなりました。
拡張シナリオや、外伝がダウンロードコンテンツで販売されたら、間違いなく購入するかと思います。
自分にとって「手強い」程度の難易度選択がツシマではベターかと思います。
個人的にゲームの途中で難易度を変更することを好まないので、あとから「難しい」に変えることは行いませんでしたが、「難しい」でやってればよかったなぁと後悔をしています。
ツシマはゲームレベリングは非常に綿密に行われていると感じられますし、5分10分の細切れプレイプレイでも十分楽しめ、プレイした分キャラは必ず成長します。
そして、プレイヤースキルや戦術向上がツシマは如実に結果として現れるゲームですので、少しでもながく「對馬」にいるためにも「易しい」はやめたほうが良いです。
攻略法ほどじゃないコツとしては。
・武士の技は「守り」から行くと多分楽。
・攻撃用アイテムは積極的に使おう。いくらでも手に入る。
・プレイに詰まったら自由に「散策」しよう。
・受け流し(パリィ)を覚えると一気に強くなる。
位でしょうか。
さて、この「ゴーストオブツシマ」。既存のゲームエンジンで作られたものではなくサッカーパンチ社の技術と歴史の積み重ねであるオリジナルの「ツシマエンジン」で作られたと開発者が公言しています。
サッカーパンチ社は、SIEI傘下にあり、この「ツシマエンジン」は、今後様々なゲームに利用されることが想像されます。
わー。続編もやりたいし、ファンタジーもやりたいし、これからPS5も出るし楽しみで仕方ないよぉ!
本当に素晴らしい作品をありがとうございました。
さて、今秋にはツシマはオンライン協力プレイモード「Legends 」(冥人奇譚)を無料でアップデートすることを発表しています。
このアップデートは、日本の民話や伝説にインスパイアされた「怪奇と幻想の世界」を舞台に、4つの職業でプレイするオンライン専用コンテンツです。
その内容は二人協力で挑むストーリーミッション「奇譚」、4人パーティーで敵のウェーブ襲撃を撃退して耐え続ける「九死」。
なんだか、CODのCOOPとゾンビモードを彷彿とさせるぞ!!!!これぞ「ハンバーガー・サムライ」!
まだプレイしていない人は秋のアップデートに備えて今こそ「GOTOツシマ」です!
関連リンク:
ゴースト・オブ・ツシマ
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