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インディペンデント映画から突如現れた男、毎熊克哉 – 映画監督・谷健二の俳優研究所 – 芸能コラム : 日刊スポーツ

2021年11月13日14時57分

谷健二氏が描いた毎熊克哉の似顔絵

11月8日に東京国際映画祭が閉幕した。日本最大級の映画祭ながら、大きくメディアに取り上げられることもなく、比較的渋い盛り上がりで終わってしまった印象なのかと。日本アカデミー賞もしかり、エンタメの頂点だったはずの映画がなかなかニッチなジャンルになりつつあるのではと、業界の片隅から恐怖を覚えている。

アニメや人気俳優が出演する漫画原作のエンタメ作品は好調だが、それ以外の作品は年々苦戦している印象である。さらに、書店に並ぶさまざまな映画誌の表紙がアイドルたちで埋め尽くされているのを見ると、何とも言えない気持ちになる。さまざまなエンタメが乱立する中、古き良き? 映画がいつまで残るのか。ヒントになるのは、これから大人になっていく若者たちであり、彼らに刺さる映画とは何かを模索する必要がある。ちなみに最近、TikTokにて、映画主題歌を歌う女子2人組のプロデュースも始めました。そう、研究の毎日です(笑)。気になる方は「たんぱつ。」で検索ください。

さて映画祭。カンヌ、ベルリン、ベネチアの3大映画祭をはじめ、アジアだと釜山映画祭も世界中の映画人が集まる映画祭として認知されている。映画ファンにとっては公開前の映画をいち早く鑑賞できる絶好の機会であり、そして出品している側はコンペで受賞することで、その後の配給に大きく影響を与えるイベントである。お笑いでいえば、M-1グランプリのように一夜で人生が変わるチャンス。映画人にとって夢の舞台といってもいいでしょう。それまで無名だった作品が、監督が、業界において一気にメインストリームに躍り出る瞬間である。 ちなみに東京国際映画祭では、コンペティション部門よりも日本映画スプラッシュ部門が熱い。2014年の「百円の恋」をはじめ、「ケンとカズ」「かぞくへ」「メランコリック」「ミセス・ノイズィ」など、いずれも作家性が高く注目を浴びたインディペンデント作品たちである。

そして、若い映画人にとっては、東京国際映画祭のスプラッシュ部門に選出されることが、次のステップのひとつだと明確な指標になりつつあったが、昨年から部門がなくなり残念である。ぜひ近い将来、復活してもらいたい。

そこで今回紹介するのは前述した「ケンとカズ」に、カトウシンスケとともにダブル主演した毎熊克哉(34)。ここ数年、映画にドラマにと本当によく見かける。特に記憶に残っているのは少し前になるが、朝ドラ「まんぷく」の塩軍団メンバー。影があり常に斜に構えていて鋭い目つきをした男といえばわかるだろうか。 ちなみに主演の安藤サクラも「百円の恋」でブレークしている。さらに最近では映画「孤狼の血 LEVEL2」の暴れっぷりも記憶に新しい。キレキレの鈴木亮平の舎弟として抜群の存在感を示していた。アイドル・イケメン全盛の業界の中、その鋭いまなざしは東映のヤクザ映画からVシネマ(ビデオ専用映画)へと続くこわもて俳優の系譜なのではなかろうか。

実際、ブレークした「ケンとカズ」でも裏社会で生きる男を熱演している。ヤクザ映画やVシネマが少なくなり、その手の俳優がいなくなる中、インディペンデント映画から突如現れた男。今後の活躍に期待です。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営。今夏には最新作「元メンに呼び出されたら、そこは異次元空間だった」が公開された。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)

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