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『科捜研の女 -劇場版-』レビュー:映画女優・沢口靖子、久々に「映画にお帰りなさい!」 | cinemas PLUS

■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

沢口靖子と聞くと、1984年の第1回東宝シンデレラ・グランプリに選ばれたときの華々しい印象と、女優デビュー作『刑事物語3潮騒の詩』(84)や復活『ゴジラ』(84)、そして市川崑監督の大作『竹取物語』(87)など、映画での初々しい姿をリアルタイムで見続けてきた世代ゆえのシンパシーが個人的に強くあります。

もっとも1985年のNHK連続テレビ小説「澪つくし」でお茶の間に広く認知され、竹中直人のぶっとび秀吉が大きな話題になったNHK大河ドラマ「秀吉」(96)の妻おね、そして1999年からスタートして今も続く「科捜研の女」シリーズなど、今ではTVドラマでの活躍のほうが目立っているかもしれません。

しかし今回、TVでの代表作を堂々銀幕に移行させての久々の映画主演(2016年の『校庭に東風吹いて』以来)という事実に、改めて映画女優としての矜持とも誇りとも受け止められるものが感じられて、観客たるこちらも「おかえりなさい!」といいたくなるような嬉しさでひとしおなのでした。

ストーリーは当然ながらにスケールアップし、またこれまでのキャラクターが大挙登場といった趣向はTVドラマの劇場版ならではの常套手段ともいえるでしょうが、今回はちょっとゲスト出演者数の桁が違うというか、多いというか、多すぎる!

およそ20年ずっとシリーズを見続けていた人も、最初の頃だけ見ていたという人も、最近見始めたという人もオールマイティに満足できるのではないかと思えるほど、膨大なシリーズ各回以来久々に出演するゲストたちの存在こそは、やはり製作サイドがいかにシリーズを熟知し、愛し続けていたかの賜物のように思えてなりません。

また、そんな多彩なゲスト陣を何ら違和感なく、バランスも巧みに各シーンに配した櫻井丈晴脚本の手腕も認めたいところです。

(2002年のパート4からシリーズに参加し続ける彼ですが、TV&劇場版『名探偵コナン』シリーズ脚本家でもある彼は、長寿人気アニメならではの膨大なキャラクターを捌き分ける手腕がここでも活かされているようです)

また、それでいて「シリーズ初の劇場版!」「シリーズ20年超の集大成!」といった大仰な感じは皆無で、むしろこれまで何作も映画シリーズが作られてきているかのような当たり前感というか安定感が、逆に見ていてたまらないものがあるのでした。

そこにも兼崎涼介監督をはじめとするシリーズを熟知したスタッフが結集しての、ある意味では「TVだろうが映画だろうが、あくまでも『科捜研の女』は『科捜研の女』である!」とでもいった誇りの顕れのようにも思えてなりません。

そして、やはり何といっても沢口靖子!

ただ歩いたり佇んでいたりといったさりげない仕草だけで“映画”を感じさせてくれる好もしさと頼もしさ!

実際、沢口靖子がデビューした当時の1980年代日本映画界はまだまだプログラムピクチュア二本立て興行が盛んで、その頃と令和の今が巧みにミックスされた本作の香りに浸りまくっていると、ふと共演の内藤剛志は『九月の冗談クラブバンド』(82)などインディーズ映画の頼もしき「顔」のひとりだったよなあとか、田中健と沢口靖子は『ゴジラ』で既に共演してたとか、宮川一郎太は『家族ゲーム』(83)で、野村宏伸は『メインテーマ』(84)でそれぞれ80年代青春スターであったとか、若村麻由美は1987年のNHK朝のテレビ小説「はっさい先生」で主演してたとか、誰かが登場してくるたびに作品そのものを越えた次元での世界にどっぷり入り込んでしまった次第!?

(TVシリーズを見ているときは全然そんな風に思ったことはないのに、やはり映画って不思議ですね)

一方で今回「科捜研の女」ワールドに初参戦となった佐津川愛美や駒井連など若手俳優の活躍も、レギュラーの渡部秀や山本ひかる同様、シリーズをリフレッシュさせる役割をも巧みに担ってくれています。

そういえば渡部秀(「仮面ライダーオーズ/000」10~11)も山本ひかる(「仮面ライダーW」09~10)も平成仮面ライダー出演組ですが、今回謎の死を遂げる教授役のベテラン片岡礼子もかつて「仮面ライダー響鬼」(05~06)シュキ役として仮面ライダー朱鬼に変身していたし、佐津川愛美は映画『キカイダーREBOOT』(14)でヒロインを演じていたし……などと、もはや本作そのものとは全然関係のない石ノ森正太郎ワールドにまで想いを馳せつつ、これ以上記し続けると収拾がつかなくなりそうなので、もうやめておきます!?

(文:増當竜也)

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