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矢崎仁司監督伝説の名作『三月のライオン』を語る「すべての始まりはPILのライブでした」|デジタル・リマスター版にて2/26(金)より公開 – 骰子の眼 – webDICE

『三月のライオン』© Film bandets

2月26日(金)より上映となる『三月のライオン』デジタルリマスター版の予告編が公開。併せて、矢崎仁司監督よりコメントが到着した。

映画評論家トニー・レインズに「ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』以来の、近親相姦を描いた秀作」と言わしめた本作品は、1991年のベルリン国際映画祭出品を皮切りに、メルボルン、バンクーバー、ロンドン、ロッテルダム、ヨーテボリ、ヘルシンキなど世界各国の映画祭で話題を呼び、92年にはベルギー王室主催ルイス・ブニュエル「黄金時代」賞を受賞。日本公開時には10代の若者たちの熱狂的な支持を受け何度も見返す観客が続出した。

「映画館の暗闇を愛で満たすもの」
矢崎仁司

すべての始まりは、パブリック・イメージ・リミテッド、PILのライブでした。
あの頃、日本映画に不満だった僕は、何かを壊したい衝動でいっぱいでした。あの夏、「This is not a love song」と歌うジョン・ライドンの声が心に刺さったまま、僕は『三月のライオン』のシナリオを書き始めました。恥ずかしいけれど第一稿のタイトルは『This is not a love story』でした。今まで観てきたラブ・ストーリーを壊そうと思いました。でもシナリオは一向に書けませんでした。

矢崎仁司監督

二年後の夏、僕は『風たちの午後』を持ってエジンバラ映画祭に行きました。そこでデレク・ジャーマンに出会いました。彼の映画は衝撃でした。僕の映画は、ある愛のカタチをスクリーンに閉じ込めて、灯りを消してみんなに観せるというもので、それが映画だと思っていました。デレクの映画は、彼の映画が上映される映画館の暗闇が愛でムンムンしていました。映写室からスクリーンまでの、バラバラな感情の履歴たちが、愛でむせかえる暗闇で僕は、こういう映画を作りたいと強く思いました。映画は愛のカタチを描くものじゃなくて、映画館の暗闇を愛で満たすものだ、とデレクに教えてもらった気がしました。

この二つの夏の体験がなければ『三月のライオン』は生まれなかったと思います。7年後、尊敬するルイス・ブニュエル監督の名前がついた賞を頂きました。その時一番嬉しかったことは、その賞の前年の受賞者がデレク・ジャーマンだったことでした。

あれから30年という歳月が流れ、愛や絆や言葉が感染拡散する世界の暗闇に、『三月のライオン』をもう一度映そうと、デジタルリマスター版を製作してくださったスタッフのみなさんに感謝します。僕も初心に帰り、「NOT」と問いつづけて新しい映画の可能性に挑み続けたいと思います。映画は、理解しなくていい、感じて欲しいという思いは今も変わりません。

▼映画『三月のライオン』予告編

『三月のライオン』© Film bandets

『三月のライオン』© Film bandets

映画『三月のライオン』
2021年2月26日(金)アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか全国順次公開

兄と妹がいた。
妹は兄をとても愛していた。
いつか、兄の恋人になりたいと、心に願っていた。

ある日、兄が記憶を失った。

妹は、兄に恋人だと偽り、病院から連れ出した。
記憶喪失の兄は、恋人だという女と一緒に暮らし始めた。

そして、兄は恋人を愛した。

恋人の名はアイス。

監督・脚本:矢崎仁司
脚本: 宮崎裕史、小野幸生
撮影監督:石井勲
音響:鈴木昭彦
美術:溝部秀二
記録:青木綾子
助監督:石井晋一
編集:高野隆一、小笠原義太郎
製作:西村隆
出演:趙方豪、由良宜子、奥村公延、芹明香、内藤剛志、伊藤清美、石井聰互(友情出演)、長崎俊一(友情出演)、山本政志(友情出演)、他
1991年/日本/118分/DCP/1:1.33/カラー
配給・宣伝:アップリンク

公式サイト

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