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窪塚洋介に内山拓也が聞く「20代のとき何を考えてましたか?」 – インタビュー : CINRA.NET

年齢を重ねること。それは、「表現」に関わる人間には、複雑なテーマだ。若き日にあった初期衝動と、経験を積むことで成熟していくスタイル。どちらも表現には大切なもので、どちらか一方だけを選ぶことは難しいだろう。11月27日に公開された映画『佐々木、イン、マイマイン』からは、20代の内山拓也監督が持つエネルギーが溢れている。

そんな彼が、自身にとってのヒーローと会って、人生や表現について話をしたいという一心で実った対談企画。ゲストは、俳優の窪塚洋介。内山からのラブコールに応えた窪塚が、内山に対して20代の頃の表現との向き合い方や、これまでどう生きようとしてきたかを明らかにする。

※本記事は作品のネタバレを含む内容となっております。あらかじめご了承下さい。

左から:内山拓也、窪塚洋介

俳優・窪塚が20代の内山と語る、「若さと成熟」

窪塚:『佐々木、イン、マイマイン』(以下、『佐々木~』)、すごくいい映画だった。

内山:ありがとうございます。

窪塚:特にあの赤ちゃんにもらい泣きするシーン、すごくよかったな。

あらすじ:俳優を目指して上京するも芽が出ない27歳の石井悠二は、高校の同級生・多田と再会し、在学当時彼らの中で絶対的な存在だった「佐々木」の話題をきっかけに昔の記憶を思い起こす。その後、悠二が出演することになる舞台の内容が悠二自身の過去と現在にリンクし始める中、数年ぶりに「佐々木」から着信が入る。<br />©『佐々木、イン、マイマイン』” class=”zoom”/><br /><span class=あらすじ:俳優を目指して上京するも芽が出ない27歳の石井悠二は、高校の同級生・多田と再会し、在学当時彼らの中で絶対的な存在だった「佐々木」の話題をきっかけに昔の記憶を思い起こす。その後、悠二が出演することになる舞台の内容が悠二自身の過去と現在にリンクし始める中、数年ぶりに「佐々木」から着信が入る。
©『佐々木、イン、マイマイン』

内山:台本だと赤ちゃんは泣かない予定だったんですよ。でも赤ちゃんをコントロールしきれない藤原季節(悠二役)を見て、主人公のままならない切実さがそこにあると思い、その姿をきちんと捉えるように現場で急遽ワンカット長回しと決めて撮影しました。

窪塚:へえ、いいね。それは功を奏していたと思う。飯を食って泣けてくるとか、そういう人間の本能や欲求に沿った泣き方ってあると思うんだけど、赤ちゃんにもらい泣きするのもその1つじゃない? それでいて、これまでありそうでなかったんじゃないかな。新鮮だった。

窪塚洋介(くぼづか ようすけ)<br />1979年5月7日生まれ。神奈川県横須賀市出身。1995年『金田一少年の事件簿』で俳優デビュー。その後2000年『池袋ウエストゲートパーク』の怪演で注目される。2001年公開映画『GO』で第25回日本アカデミー賞新人賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。その名前を一気に広める。2017年『Silence-沈黙-』(マーティン・スコセッシ監督)でハリウッドデビューを果たし、海外にも積極的に進出。現在Netflixにて『GIRI/HAJI』、Amazon Audibleで『アレク氏2120』(堤幸彦監督)が好評配信中のほか、2021年2月に『ファーストラヴ』(堤幸彦監督)の公開を控える。また、レゲエDeeJayの卍LINEとして音楽活動を行う一方で、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。地球によい、体によいをテーマにした自身の番組『今をよくするTV』をYouTubeにて配信中。” class=”zoom”/><br /><span class=窪塚洋介(くぼづか ようすけ)
1979年5月7日生まれ。神奈川県横須賀市出身。1995年『金田一少年の事件簿』で俳優デビュー。その後2000年『池袋ウエストゲートパーク』の怪演で注目される。2001年公開映画『GO』で第25回日本アカデミー賞新人賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。その名前を一気に広める。2017年『Silence-沈黙-』(マーティン・スコセッシ監督)でハリウッドデビューを果たし、海外にも積極的に進出。現在Netflixにて『GIRI/HAJI』、Amazon Audibleで『アレク氏2120』(堤幸彦監督)が好評配信中のほか、2021年2月に『ファーストラヴ』(堤幸彦監督)の公開を控える。また、レゲエDeeJayの卍LINEとして音楽活動を行う一方で、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。地球によい、体によいをテーマにした自身の番組『今をよくするTV』をYouTubeにて配信中。

内山:そうですね。全体的に、「ありそうでなかった」とか、「わからなそうでわかる」という……みんな経験しているけど、言語化や可視化されていないことをなるべく描こうと思っていました。

窪塚:うんうん。音楽の使い方も成熟している感じがしたし、時間軸が微妙に前後していく感じのさじ加減もよかった。そういうもので重力を作っていって、大胆な仕掛けは特にないのに赤ちゃんのシーンあたりからスパークしちゃうみたいな。しかも観客に優しくないじゃん。

内山:そうですね。テロップも出ないし、現在も過去も色味は全部一緒ですし。

窪塚:それも作品に合ってるなと思った。役者もよかったし。(取材に同席している佐々木役の細川岳を見て)「佐々木いるやーん」ってなったもん(笑)。

佐々木役を演じた細川岳も取材に同席した
佐々木役を演じた細川岳も取材に同席した

内山:ありがとうございます。役者を褒められるのはうれしいですね。

窪塚:映画を観てけっこう年上の人が作ったのかなと思っていたから、さっき内山くんの年齢を聞いてビックリした。でも成熟したものを見せられた気もする一方で、10代のフレッシュな思いや匂い、痛みは、10代からそんなに時間が経ってない年齢の内山くんだからこそ焼きつけられたんだろうね。

内山:「若者」と呼ばれる限りは、なるべく若者代表として、批判も称賛も全部矢面に立って受けたいと思っているんです。10代のフレッシュな経験がまだ自分の中に残っているうちは、ものづくりをしている人間として、その意識だけはなくしちゃいけないなと。

内山拓也(うちやま たくや)<br />1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。” class=”zoom”/><br /><span class=内山拓也(うちやま たくや)
1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。

窪塚:『佐々木~』を見たとき、ちょっと危機感があったんだよ。なにに対する危機感かはわからないんだけど……。俺は自称18歳なんだけど、それでも昔あった無駄な時間とか、そのときに感じていた匂いや経験を、いつの間にか忘れていて。サンクチュアリみたいな、誰も踏み込めない自分だけの不可侵の場所があると思っていたけど、10代のときよりその場所はちょっと小さくなってるかもって、この映画から思わされた。

内山:時間の流れとともに、忘れていくことには抗えないですもんね。

窪塚:うん。でも別にそれが心地悪いわけじゃないんだよ。一番大事な形は残ったまんま成熟していってる感じだから。木で例えたら、年輪は増えていくけど、その木の名前も、生えている場所も変わってないということだからね。

左から:内山拓也、窪塚洋介

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