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萎縮する香港社会、若者を励ます新曲  ユーチューブで日本語版ミュージックビデオ公開:東京新聞 TOKYO Web

「明日」の日本語版MVに出演した靄凝さん。「香港の若者に希望を届けたい」と話す=本人提供

 香港国家安全維持法(国安法)の施行により社会が萎縮する香港で、デモのテーマソング「香港に再び栄光あれ」を作曲した音楽家が、自由を求める若者たちを激励する新曲「明日」を発表した。社会の閉塞感から希望を失いつつある若者の姿を知ってもらいたいと、日本語版のミュージックビデオ(MV)も制作し、ユーチューブで公開している。(上海支局・白山泉)

◆反政府デモのテーマソングも

 曲を制作したのは匿名の音楽家グループ「DGXミュージック」。昨年8月に発表した「香港に再び栄光あれ」は香港市民に広く浸透し、反政府デモのテーマソングにもなった。

 香港警察は新型コロナウイルス対策を名目にした集会禁止令によってデモを容赦なく鎮圧。国安法が施行されてからは、フェイスブック上の言論の取り締まりも厳しくなり、香港では通報を恐れて登録名を本名からニックネームに変える人も多いという。自主規制は芸術分野にも広がり、今回の曲のMVを作る際には監督や俳優の変更を強いられたという。

 デモに対して「国安法のおかげで過激なデモがなくなり、経済活動にはプラスだ」(経済関係者)という冷めた声もあり、自由を切望する若者たちは行き場を失っている。

◆自由失われる若者の姿重ねる

 こうした中で制作された「明日」のMVでは、懐かしさを漂わせる香港の日常を背景に、将来の夢を見失う香港の若者たちと彼らが手を取り合いながら再び歩き出そうとする姿を描いた。「当たり前の日々が静かに壊されていく」。こうした歌詞の中に、国安法によって自由が失われ、香港の未来に希望を見いだせなくなった若者たちを重ね合わせている。

香港の風景を背景に若者を元気づけるメッセージを込めたミュージックビデオ=「DGXミュージック」のユーチューブより

香港の風景を背景に若者を元気づけるメッセージを込めたミュージックビデオ=「DGXミュージック」のユーチューブより

 曲の終盤では「君の笑顔を取り戻せる日がきっと来るからさぁ顔上げて」「もう一度深呼吸して始めよう」などと励ます歌詞や「希望は君たちの手にあるまた明日」とのメッセージを伝えた。制作に携わった作曲家のトーマスさん(25)は「言いたいことが言える幸せな暮らしを求めようという前向きなメッセージを込めた」と話す。

◆香港人の気持ちを知ってもらいたい

 原曲は広東語だが「デモを応援してくれた日本の人に今の香港人の気持ちを知ってもらいたい」(トーマスさん)と日本語版の歌詞とMVを制作した。日本語の歌詞は自由を求める動きに賛同する日本人が担当した。

 MVに出演した靄凝さんは「昨年のデモで多くの人が傷ついたが、年齢や性別を超えて支え合う香港人の素晴らしさを再認識した。芸術の力で香港の若者に希望を届けたかった」と話している。

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