俳優

対中強硬クルーズ米上院議員に注目 | NEXT MEDIA “Japan In-depth”[ジャパン・インデプス]

このエントリーをはてなブックマークに追加

島田洋一(福井県立大学教授)

「島田洋一の国際政治力」

【まとめ】

・4年後の米大統領の有力候補にテッド・クルーズ上院議員。

・「5つの目」から外される可能性あった英、ファーウェイとの契約見直しへ。

・クルーズ、議会内最左派オカシオコルテス氏とも連携、これからの動きに注目。

 

気鋭の保守派で4年後の米大統領候補の1人テッド・クルーズ上院議員(共和党)に「4つの目は6つの目に勝る」という名言がある。

米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの英語圏5カ国で機密情報を共有する通称「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」という枠組がある。「5つの目」であり、情報同盟と表現されることも多い。

つい最近、武漢ウイルスの発生経緯について中国政府が意図的に証拠隠しに走ったとするファイブ・アイズの調査書がメディアに流れて話題になったばかりだ。

クルーズは、イギリス政府が、中国の情報通信企業ファーウェイを自国の5Gネットワーク構築に参加させる決定をしたことを強く批判してきた米議員の1人である。

ファーウェイは「中国のスパイ機関」であり、通信システムにその関与を認めるような国とは機密情報を共有できない。イギリスはファイブ・アイズから外さざるを得ない。たとえ4つの目に減っても、イギリスを媒介に中国というもう1つの目が覗き込む事態よりは遥かによい。「4つの目は6つの目に勝る」というわけである。

しかし最近「よいニュース」があって、今回のコロナ事態を受け、英国政府は「安全保障リスクの観点からファーウェイとの契約を真剣に見直すようだ」とクルーズはFOXニュース5月3日の番組で語っている(Sunday Morning Futures with Maria Bartiromo, Fox News, 5/3/2020)。

ファイブ・アイズとの連携を希望する日本政府にとり注視すべき展開だし、何よりも日本自ら、中国との関係で情報管理を強化せねば、連携どころか一層「仲間外れ」にされることになりかねない。

クルーズは同じインタビューで、「世界中の何十万という死は、極めて現実的な意味で、中国共産党政権のウソに直接起因する」とも述べている。早い段階で警告を発した医師を顕彰どころか処罰し、証拠隠滅を事とし、地域的流行で終わったはずの災厄をパンデミック(世界的大流行)にまで成長させたのは中国政府であり、責任を取らせねばならないというわけである。クルーズを筆頭にこうした見解を公にする米議員は日ごとに増えている。

クルーズは有志議員と協調の下、現に議会に様々な対中制裁法案を出している。その中には、中国で上映される際、中身を共産党政権の圧力で改変するようなハリウッド映画会社には、今後軍事シーン撮影で国防総省の協力を許さないといったユニークなものもある。

登場人物の服にプリントされた国旗群から日本と台湾の国旗をCG処理で消した事例や、イギリスのロックバンド・クイーンのボーカルリスト、フレディ・マーキュリーに焦点を当てた映画『ボヘミアン・ラプソディ』で主人公がホモセクシュアルと分かるシーンを削除した事例などをクルーズは改変の具体例として挙げている。

後者は、保守派のクルーズにしてはやや意外な言及だが、法案に左派の賛同を得るための配慮でもあろう。

クルーズはこれまで、香港やウイグルの人権問題を糾弾する法案や声明を出す際、議会内最左派の若手女性アレクサンドリア・オカシオコルテス(民主党。略称AOC)としばしば手を携えてきた。日本の左翼議員ではありえない話で、AOC評価に当たっても重要な点だが、ますます発信力、影響力を強めつつあるクルーズの動きに注目したい。

▲画像 Alexandria Ocasio-Cortez 出典:flickr by Dimitri Rodriguez

かつてロナルド・レーガンが一俳優から俳優組合委員長を経て政治の道に入っていったのは、ハリウッドに対するソ連の影響力増大に危機感を持ったためだった。映画界は左翼が多く、保守派からは「ウェストコーストならぬレフトコースト」と揶揄されてきたが、内部からいかなる動きが出るか(あるいは出ないか)にも注目したい。

トップ画像:Ted Cruz 出典:flickr by Gaze Skidmore

LINEで送る このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を書いた人
島田洋一福井県立大学教授

福井県立大学教授、国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)評議員・企画委員、拉致被害者を救う会全国協議会副会長。1957年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。著書に『アメリカ・北朝鮮抗争史』など多数。月刊正論に「アメリカの深層」、月刊WILLに「天下の大道」連載中。産経新聞「正論」執筆メンバー。

島田洋一

ブログ / Facebook / Twitter  

もっと見せる

関連記事

Leave a Reply

Your email address will not be published.

Close
Close