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半世紀続く人気キャラクター「G.I.ジョー」の最新作が日本上陸 いつの時代も映画は愉し(第12回) | JBpress autograph

文=岡崎優子

スネークアイズはシリーズの中でも人気キャラクター。言葉を発しない設定だが、本作では結構台詞も多い。前2作もAmazon.comなどで配信中

前2作は韓流スター、イ・ビョンホンが活躍!

 1960年代にハズブロ社から発売されたフィギアからスタートし、80年代にはコミック、TVアニメ、2000年代に入ってからはゲーム、映画と、長きにわたってメディアミックス展開してきた『G.I.ジョー』。そもそもG.I.ジョーとは各国から集められた最強の戦闘エキスパートチームのことで、コミックやTVアニメ、映画では世界支配を目論む悪の組織「コブラ」との戦いが描かれてきた。

 TVアニメを基にした映画版第1弾が2009年、第2弾『バック2リベンジ』が2013年に公開されたことを考えると、息の長いシリーズだなぁと、感慨深いものがある。

 第1弾が公開されたときは、当時の韓国四天王俳優イ・ビョンホンがハリウッド・デビューした作品だったこともあり、韓流ブームに沸いた日本のファンは大いに食いついた。端正なマスク、鍛えられた肉体、身体能力の高さ、『JSA』『甘い人生』で見せた確かな演技力を持つビョンホンがハリウッドで活躍するとあれば、マニアックなアクション映画だろうと見ておきたい。そんな一途な女性ファンも多かった。

 実際、ビョンホンが演じたストームシャドーは、原作の中では重要な役。第3弾『漆黒のスネークアイズ』の主人公スネークアイズと共に修行した兄弟弟子であり、30代続く忍者一族の末裔でもある。ある事件をきっかけにストームシャドーは一族から離れ、コブラの一員となるが、白い忍者の衣裳に身を包み、刀や十字手裏剣などを華麗に扱う姿は悪役ながら、ほれぼれしてしまう。そして肉体美を惜しげもなく披露。笑ってしまうほど、何度も上着を脱ぎ棄て戦う姿が目に焼き付いた。スネークアイズとの殺陣は流れるように美しかったし、登場人物がやたら多い本作の中でも、強烈な印象を残した。

 

ハリウッド映画史上最大規模の日本ロケ

 と、前置きがついつい長くなってしまったが、新作『漆黒のスネークアイズ』はスネークアイズと、ビョンホンが演じたストームシャドーを中心に、物語が展開する。だからこそ、G.I.ジョー自体を知らなくても、前2作を見ていなくても全く問題なく楽しめる。

 主な舞台は日本。前2作より時代はぐっと遡る。前日譚といいたいところだが、前2作とは少々設定が変わっていて、二人は兄弟弟子ではない。そもそもスネークアイズは幼い頃、父親を殺害され、復讐しようと20年間、流れ者ファイターとして旅をしてきた。

 一方、後にストームシャドーとなるトミーは、秘密忍者組織“嵐影一門”の頭領の血筋を継ぐ忍者。そのトミーを、一門を追われた最強の抜け忍、鷹村率いる悪の組織から救ったことで、スネークアイズは一族しか入れない嵐影の屋敷へと招かれる。

日本ロケ地の豪華さにも驚かされる。さすが世界興収737億円の実績をほこるシリーズ最新作!

 その屋敷が凄すぎる。なんたって世界文化遺産、姫路城(!)なのだから。いくら600年かけて日本を護り続けた一族といっても、お城に住む輩はそういない。しかも“嵐影”は秘密忍者組織のはずなのに、目立つところに住んでどうする(笑)。そこがまた、ステレオタイプの日本をそのまま取り込んでしまう、愛すべき日本勘違い映画の魅力。

 ただ、勘違いと簡単に片づけてしまうには恐れ多いロケ地すぎる。ほか亀山本徳寺、円教寺、岸和田城など、そう簡単にロケ地として使えなさそうな場所ばかり。本作は2カ月にわたり日本各地で撮影され、昨年は多くのマスコミがそのニュースを取り上げた。

 なるほど本作は、内閣府が初めて実施する「外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査の対象作品」として採択。日本をロケ地とした作品の中では、ハリウッド映画史上最大規模を誇る。大阪の街中でも松田優作の遺作となった『ブラック・レイン』(89)以来の大掛かりな撮影が行われたことでも話題になった。

 それにしても今年は『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』『モータル・コンバット』『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』と日本を舞台にした作品が目白押し。残念ながら『ワイルド・スピード』はセット撮影ではあったが、日本のイメージや文化を作品に取り入れたいという動きは、ハリウッドに古くから根強いている。この作品を機に、今後もっと驚くようなロケ地での撮影を実現させてもらいたいものだ。

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