俳優

オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来 – インタビュー : CINRA.NET

スマホと動画配信サービスの普及によって、いつでもどこでも気軽に国内外の映画・ドラマを視聴できる昨今。一方で、かつて社会現象になる作品を次々と輩出した「テレビドラマ」は、時代とともにコンプライアンスが厳しくなったこともあり、往年ほどの勢いがなくなってきている。

そんな状況に一石を投じようとしている作品が、2021年9月17日に放送スタートのNHK新ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(以下、オリバーな犬)だ。

本作で地上波の連続ドラマの脚本・演出を手がけたオダギリジョーは、「あえてNHKで、コンプライアンスを逆手に取った作品づくりをした」という。映画を中心に世界を肌で感じてきた彼は、日本のテレビドラマ界にどんな風を吹かせようとしているのだろうか。

また同じく映画界において、世界を舞台に表現の道を極めてきた永瀬正敏も、本作で19年ぶりに地上波の連続ドラマに出演することが決まり注目を集めている。

そこで今回は二人を招き、学生時代に影響を受けたテレビドラマから、現代の国内におけるドラマの印象を踏まえたうえで、新ドラマ『オリバーな犬』の意気込みを聞いた。さらには、現代ドラマにおけるコンプライアンスとの向き合い方、SNSの重要性、ネット配信ドラマに対する印象のほか、若い世代に伝えたい想いなどについても存分に語り合ってもらった。

下手したら、永瀬さんがつくってしまった人間のひとりかもしれません(オダギリ)

―永瀬さんの地上波の連続ドラマ出演は、じつに19年ぶりとうかがいました。やはりオダギリさんが脚本・演出をされる作品というのが大きかったのでしょうか。

永瀬:そうですね。もちろん声をかけていただかなければ、ぼくたち俳優は動けないですから、まずお声がけいただいた時点で嬉しかったし、「オダギリくんがNHKで連続ドラマをつくる」と聞いた時点で最高だなと思いました。

オダギリくんのこと、会うたびに好きになっていくんですよ。告白してどうする、という話なんですが(笑)。

オダギリ:いやいや、おそれ多いです(照笑)。

1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(1991年)で日本アカデミー賞新人俳優賞・最優秀助演男優賞などを受賞し、その後も数々の映画に出演。 海外作品にも多数出演し、カンヌ国際映画祭・最優秀芸術貢献賞『ミステリー・トレイン』(1989年)、ロカルノ国際映画祭・グランプリ『オータム・ムーン』(1992年)、リミニ国際映画祭グランプリ、トリノ映画祭審査員特別賞『コールド・フィーバー』(1995年)では主演を務めた。『あん』(2015年)、『パターソン』(2016年)、『光』(2017年)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となる。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2021年9月スタートのNHKの新ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年)は、地上波では『私立探偵濱マイク』(2002年)以来の連続テレビドラマ出演となる。” class=”zoom”/>
永瀬正敏(ながせ まさとし)
1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(1991年)で日本アカデミー賞新人俳優賞・最優秀助演男優賞などを受賞し、その後も数々の映画に出演。 海外作品にも多数出演し、カンヌ国際映画祭・最優秀芸術貢献賞『ミステリー・トレイン』(1989年)、ロカルノ国際映画祭・グランプリ『オータム・ムーン』(1992年)、リミニ国際映画祭グランプリ、トリノ映画祭審査員特別賞『コールド・フィーバー』(1995年)では主演を務めた。『あん』(2015年)、『パターソン』(2016年)、『光』(2017年)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となる。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2021年9月スタートのNHKの新ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年)は、地上波では『私立探偵濱マイク』(2002年)以来の連続テレビドラマ出演となる。

永瀬:おこがましいかもしれないけど、オダギリくんとは作品づくりや演技に対する考え方とか感覚が似ている気がするんですよね。それがすごく嬉しくて。

話していても「そうそう!」って思えることが本当に多い。そういった存在は、いそうであまりいません。脚本もそうだし、ものづくりへの姿勢も共感することばかりです。

オダギリ:こちらこそおこがましいですが、俳優のスタンスとして永瀬さんのつくった流れを引き継いでいる部分があると思います。永瀬さんのように映画俳優でありつつ、同時にアートを感じさせる雰囲気に憧れていましたし、大きな刺激を受けましたから。そういう意味では、下手したら永瀬さんがつくってしまった人間のひとりかもしれません(笑)。

永瀬:いやいや……(照笑)。

オダギリジョー<br />1976年生まれ、岡山県出身。『アカルイミライ』(2003年)で映画初主演。以降、『ゆれる』(2006年)、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』(2007年)、『舟を編む』(2013年)などで日本アカデミー賞をはじめ数々の俳優賞を受賞。また、『悲夢』(2009年)、『SaturdayFiction(原題)』(2019年)など海外作品への出演も多数。テレビドラマも『時効警察』シリーズをはじめ、『熱海の捜査官』(2010)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)など、数多くの話題作に出演。俳優業の傍ら監督業にも進出し、長編監督デビューを果たした『ある船頭の話』(2019年)で、第76回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に日本映画史上初めて選出。2021年9月17日にスタートするNHKの新ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年)では脚本・演出を務める。待機作として、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』がある。” class=”zoom”/><br /><span class=オダギリジョー
1976年生まれ、岡山県出身。『アカルイミライ』(2003年)で映画初主演。以降、『ゆれる』(2006年)、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』(2007年)、『舟を編む』(2013年)などで日本アカデミー賞をはじめ数々の俳優賞を受賞。また、『悲夢』(2009年)、『SaturdayFiction(原題)』(2019年)など海外作品への出演も多数。テレビドラマも『時効警察』シリーズをはじめ、『熱海の捜査官』(2010)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)など、数多くの話題作に出演。俳優業の傍ら監督業にも進出し、長編監督デビューを果たした『ある船頭の話』(2019年)で、第76回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に日本映画史上初めて選出。2021年9月17日にスタートするNHKの新ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年)では脚本・演出を務める。待機作として、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』がある。

オダギリ:だから、永瀬さんに「感覚が似ている」「共感する」と言ってもらえて本当に嬉しいですね。さらにいえば、ぼくに影響を受けたと言ってくださる若い俳優さんが何人かいたとしても、それは実質、永瀬さんに影響を受けているといっても過言ではないです(笑)。

そもそも『時効警察』(2006年)も永瀬さん主演の『私立探偵 濱マイク』(2002年)に影響を受けているんですよ。映画的な表現や手法をテレビに持っていったのを見て、「あのスキームでこだわったコメディードラマをつくれないだろうか……」と考えたのがスタートのきっかけだったんです。

永瀬:そうだったんだ。とても嬉しいです。


『時効警察』シリーズは、「時効が成立した事件を趣味で捜査する」という主人公の警察官の活躍を描いたコメディーミステリー(Instagramで見る)

映画3作が制作されたのち、2002年にテレビドラマ化された『私立探偵 濱マイク』。主人公の探偵が住む横浜・黄金町を舞台に繰り広げられるハードボイルドドラマ ©︎読売テレビ
映画3作が制作されたのち、2002年にテレビドラマ化された『私立探偵 濱マイク』。主人公の探偵が住む横浜・黄金町を舞台に繰り広げられるハードボイルドドラマ ©︎読売テレビ

『水戸黄門』シリーズもよく観ていました(永瀬)

―映画を中心に活躍されている印象が強いお二人ですが、今回は日本のテレビドラマについて詳しくお話をうかがいたいです。学生時代は、どんなテレビドラマに触れてきましたか?

永瀬:中学生の頃はほぼ映画を観ておらず、むしろテレビドラマばかりでしたね。校則で男子は坊主頭だったこともあって、ちょっと大人向けの映画を観たくても、もぎりのおばちゃんにバレてしまうから映画館に行きづらくて(笑)。

当時、好きで見ていたドラマは松田優作さん主演の『探偵物語』(1979年~1980年)、『寺内貫太郎一家』(1974年)とか。あと、『水戸黄門』シリーズ(1954年~2019年)もよく見ていました。

オダギリ:『水戸黄門』!(笑) 時代劇も見てたんですね。

永瀬:ぼくが、おじいちゃんおばあちゃんっ子だったことも大きいですね。「最後、印籠突きつけて終わりでしょ?」と、わかっていながらも見てしまう。フィルム撮影による『水戸黄門』特有の映像の雰囲気も好きでした。

ほかには、『銭形平次』(1966年~1984年)、NHKだと『プリンプリン物語』(1979年~1982年)や『七瀬ふたたび』(1979年)なども見ていました。あと、萩原健一さん主演の『傷だらけの天使』(1974年~1975年)が好きでしたね。

左から:オダギリジョー、永瀬正敏

オダギリ:リアルタイムではなかったですが、ぼくも『傷だらけの天使』は大好きでした。『私立探偵 濱マイク』もそうですが、音楽やファッションがかっこ良くて真似したくなるんですよね。そういうカルチャー要素が絡んでくるドラマを好んで見ていました。

世代的には、『北の国から』(1981年~2002年)をはじめとする倉本聰さんの作品を好きな人が多くて、ぼくも『前略おふくろ様』(1975年~1977年)は何年かに1回見返します。

一方で、みんなが見ていたような王道のトレンディードラマはあまり興味を持てなかったですね。でも、『高校教師』(1993年)は自分がちょうど高校生だったからか、ハマって見ていました。

もっと見せる

関連記事

Close
Close