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歌舞伎座「四月大歌舞伎」 幸四郎、白鸚 「勧進帳」 親子で挑む弁慶:東京新聞 TOKYO Web

「勧進帳」弁慶の舞台写真を前にした松本白鸚(右)と幸四郎 (c)松竹

 東京・歌舞伎座の「四月大歌舞伎」第1部「勧進帳」で、松本白鸚(78)、松本幸四郎(48)親子がダブルキャストで弁慶を演じる。歌舞伎十八番の一つで、屈指の人気演目。白鸚にとって今回が本興行では史上最年長での弁慶役となるが、「このご時世で、この年齢。最後まで心してつとめたい」と意欲を見せる。 (山岸利行)

 「勧進帳」の弁慶は、白鸚の祖父、七代目松本幸四郎が生涯で千六百回以上つとめ、白鸚も染五郎時代の十六歳の時に初役で演じて以来、これまでに千百五十回つとめてきた。

 変装して都を落ち行く源義経一行だが、加賀国安宅(あたか)の関で関守・富樫の詮議を受ける。弁慶が主君義経を守るため、富樫と緊迫感あふれる問答を展開するところが見どころの一つ。勇猛さと頭脳の明晰(めいせき)さを兼ね備え、人格などにも優れた弁慶は、立派につとめて初めて「弁慶役者」といわれるほどの難役。

 白鸚は「話をいただいた時、『できるかな』との気持ちがあったが、息子(幸四郎)と一日替わりということもあり、覚悟を決めた」と心の内を明かした。弁慶については「父(初代白鸚)から教えてもらっている時、無言の圧力を感じた」と言うほどで、「ちょっとでも集中力が欠けると弁慶でなくなり、お客さまに見透かされる。現在の白鸚の声、芸で息子(の弁慶)に対抗したい」。

 幸四郎にとっても「弁慶があったから役者になった」というほど、大きな存在。弁慶を演じるたびに「体力的に大変きついお役と感じる」と話すが、「(富樫のせりふを)しっかり正面で受けて、相手に返す強さをお見せし、弁慶をやり切りたい」と気を引き締める。

 「歌舞伎は型。先輩の素晴らしい芸を受け継ぎたいとの思いがある」と白鸚は話し、「息子と(『勧進帳』を)やることができて本当にうれしい」と幸四郎への芸の伝承に笑みを浮かべる。市川染五郎(15)との「高麗屋三代」での弁慶上演の期待も高まるが、「天のみぞ知るです」と言いながらも「孫に負けまいという気持ちはあります」と、意気軒高だ。

◆「絵本太功記」芝翫が意欲 「光秀の緻密さを」

「絵本太功記」で武智光秀を演じる中村芝翫

「絵本太功記」で武智光秀を演じる中村芝翫

 第二部では中村芝翫(しかん)(55)が名作「絵本太功記」の武智光秀(明智光秀)を演じる。本能寺で主君、織田信長を討った光秀の最期を、一日一段ごとに描いた全十三段の物語。今回上演されるのは本能寺の変の後を描く十段目「尼ケ崎閑居(あまがさきかんきょ)の場」。

 閑居にいる宿敵、真柴久吉(羽柴秀吉)を狙って竹やりを突き刺すが、久吉と思ったのが実は母親皐月(さつき)で…。光秀が親と子を失う重要な場だ。竹やりの準備をしながら無言の動きをとる光秀。「光秀の緻密さがにじみ出てこないと」と役づくりを語る。

 逆賊のイメージもつきまとう光秀について「みんなに愛され、信念を貫いた人」と語る。同作での光秀役は三回目となるが、「初役の時より二回目、三回目が難しいことを肝に銘じたい」と気を引き締める。

 橋之助を経て芝翫襲名から今年で五年。「あっという間」としながら「やっと心が落ち着いてきた」と明かす。歌舞伎俳優として「古典をもう少ししっかりやりたい」と意欲を見せる一方で、「歌舞伎が世の中の目に触れられるようになれば」と日本俳優協会の仕事にも力を注ぐ。

◆四月大歌舞伎

 ◇第1部(午前11時開演)「小鍛冶(こかじ)」(市川猿之助、市川中車ら)、「勧進帳」(松本白鸚=A日程で弁慶、松本幸四郎=B日程で弁慶、A日程で富樫、中村雀右衛門ら)

 ◇第2部(午後2時45分開演)「絵本太功記 尼ケ崎閑居の場」(中村芝翫、尾上菊之助ら)、「団子売(だんごうり)」(中村梅玉、片岡孝太郎)

 ◇第3部(午後6時開演)「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう) 上の巻」(片岡仁左衛門、坂東玉三郎ら)

 公演は4月3〜28日(9、19日は休演)。チケットホン松竹=(電)0570・000・489。

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