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ポン・ジュノ監督『殺人の追憶』モチーフの連続殺人事件、30余年の捜査について警察が公開謝罪 – MOVIE WALKER PRESS

昨年解決した韓国三大未解決事件「華城連続殺人事件」をモチーフにした『殺人の追憶』『殺人の追憶』DVD発売中 価格:1,500円+税 発売・販売元:株式会社KADOKAWA 角川書店 [c]2003 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

『パラサイト 半地下の家族』(公開中)で、韓国出身監督として史上初めてアカデミー賞監督賞を受賞するなど、様々な記録を打ち立てたポン・ジュノ監督が2003年に製作した『殺人の追憶』。同作のモチーフとなった韓国三大未解決事件のひとつ「華城連続殺人事件」の犯人が昨年判明したことを受け2日、地元警察の署長が事件の被害者遺族らと、これまで犯人と疑われた人物に対し正式に謝罪をした。

ソウル近郊の華城郡(現在の華城市)周辺で1986年から1991年にかけて発生した「華城連続殺人事件」は、14歳から71歳までの女性10名が犠牲となった、韓国史上最悪の連続強姦殺人事件。約2万人の捜査員が動員された大規模な捜査が行われるも犯人特定には至らず、『殺人の追憶』公開から約3年後の2006年4月に最後の事件が公訴時効を迎えることに。

事件は『殺人の追憶』の公開から3年後に公訴時効が成立している事件は『殺人の追憶』の公開から3年後に公訴時効が成立している『殺人の追憶』DVD発売中 価格:1,500円+税 発売・販売元:株式会社KADOKAWA 角川書店 [c]2003 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

しかしその後も捜査は続けられ、最初の事件から30年が経過した昨年、別の強姦殺人事件で終身刑に服している男のDNA型と被害者の下着に付着したDNA型が一致したことから、男が最重要容疑者として浮上。男は10件の強姦殺人をすべて認め、さらに8歳の少女を含む4件の強姦殺人を自供。『パラサイト 半地下の家族』公開時にプロモーションで来日したポン・ジュノ監督は、MOVIE WALKER PRESSでの取材に対し「私は『犯人の顔を見たい!』と思いながら『殺人の追憶』を撮っていたので、DNA照合されて逮捕された犯人の顔を見て、奇妙な感覚に襲われました。実際には、ほかの罪で25年間収監されていたのですが、まさかこんな日が来るとは思いませんでした」と語っていた。

また警察は34人の女性に対する強姦事件について捜査したが、9件しか男の関与を裏付ける証拠を見つけることができず、いずれの事件も公訴時効が成立しているため起訴することはできない。

本事件に含まれる一つの強姦殺人について、1989年に無実の男性が有罪判決を受け、20年間服役した後に保釈されている。署長はその捜査過程で、男性が暴行を受けて虚偽の自白を強要されていたことを認め、男性の捜査に関わった警察官と検事8名が違法拘束の罪ですでに起訴されていたことを明らかに。またこれまでに容疑者として捜査対象となり、警察から暴行と自白の強要をされた男性4名が自殺しているとのこと。

【写真を見る】『パラサイト』でアカデミー賞受賞のポン・ジュノ監督が手掛け、記録的な大ヒットに!【写真を見る】『パラサイト』でアカデミー賞受賞のポン・ジュノ監督が手掛け、記録的な大ヒットに!写真:SPLASH/アフロ

ポン・ジュノ監督にとって長編第2作となった『殺人の追憶』はこの一連の連続強姦殺人事件で捜査にあたる刑事たちの奔走と、杜撰な捜査の実情をまざまざと描きだしたサスペンス。ソン・ガンホとキム・サンギョンが刑事役を演じ、韓国国内では500万人を超える観客動員を記録。韓国のアカデミー賞とも言われている大鐘賞では作品賞や監督賞など5部門を受賞したほか、その年の韓国国内の映画賞を総なめにする社会現象を巻き起こした。

また「韓国三大未解決事件」と呼ばれる事件はいずれも映画化されており、華城連続殺人事件の最後の事件と同じ1991年に5人の少年が行方不明となり11年後に白骨死体となって発見された事件を描いた『カエル少年失踪殺人事件』(11)、同じく1991年に起きたイ・ヒョンホ君誘拐殺人事件を描き、実際の犯人の肉声を流したことで大きな話題を集めた『あいつの声』(07)。どちらの事件もすでに公訴時効が成立しており、犯人特定には至っていない。
なお、韓国では2007年に殺人罪の公訴時効期間が15年から25年に延長された後、2015年に廃止された。

文/久保田 和馬

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